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出水市令和5年第4回定例会 第6日

○椎木伸一市長 ただいま上程されました、区域内の公共的団体等の活動の総合調整について提案理由を説明いたします。
今定例会の一般質問の答弁の中でも申し上げましたが、本年11月11日、本市緑町地内において、農家で構成されております任意団体である環境保全会が、多面的機能支払交付金事業として出水平野土地改良区から許可を受けて用水路修繕工事を実施していた際、広瀬川漁業協同組合理事から理不尽な主張があり、工事の中断に追い込まれるという事案が発生しております。
出水平野土地改良区は、土地改良法第57条の規定により、定款に定めて当該施設の維持管理を行っていることから、当該工事に係る土地改良区の許可は適正なものであり、また、同理事が主張の中で持ち出した水利権は、当該工事に無関係なものであります。当該事業における環境保全会の直営作業による用水路の修繕が、正当な理由もなく中断せざるを得ない状況に追い込まれ、結果として中止に至ったことは、当該地域のみならず、今後の本市全体の農業活動への妨害へとつながるものであります。
また、本年6月と7月に、九州農政局が広瀬川漁業協同組合に対し、高川ダムでの耐震調査のためのボーリング等に係る事業説明を行いましたが、広瀬川漁業協同組合の回答は、広瀬川漁業協同組合と出水土地改良区との関係性が改善されないという事業の実施と何ら関係のない理由をもって、同意できないとのことであったと聞いております。
このような正当な理由もなく、広瀬川漁業協同組合が事業に同意しないことは、本市における農業施設の根幹である基幹水利施設の更新事業に重大な支障を来すこととなり、本市の農業の著しい後退を招くこととなります。さらには、高川ダムの耐震性の確保は、流域住民の安全に直結する喫緊の課題であり、これ以上の事業の遅滞は許されない状況にございます。
また、先ほどの広瀬川漁業協同組合の理事は、環境保全会の作業に対する妨害行為を行った際、休日であるにもかかわらず、市及び県の職員を正当な理由もなく現場に呼び出しております。もちろん、市として業務上必要な場合は、休日や時間外等であっても状況等を聞き取った上で対応することは当然でありますが、今回の要求は、名前も名乗らず、連絡先も告げず、具体的な状況等の説明もないまま、ただ職員が現場に出向いてくることを強要するものでありました。なお、同理事は、過去においても度々、同様の行為を行っております。
市は、同理事が市議会議員であったときにも、同様の行為に対し不当行為と認定して警告を行っており、また、市議会においても2回にわたる辞職勧告決議がなされましたが、それを受け入れることなく、議会の意向に反し、議員活動を継続するといったこともございました。
今後においても、これらのような事態が継続しますと、個別の事業遂行のみならず本市行政全体に支障が生じ、ひいては、市民の皆様の安心・安全が脅かされることとなることから、今回、地方自治法第157条の規定に基づく区域内の公共的団体等の活動の総合調整権を行使し、議案にお示ししているとおり、1つ目には環境保全会の適正な活動への妨害行為に対する是正の勧告、停止の命令等の措置、2つ目に国、県、市が実施する事業における協議等において、正当な理由なく拒否するなどの不誠実な行為に対する指揮監督等の措置及び3つ目としまして、正当な理由のない市職員等の呼出し行為等に対する停止の命令等の措置を、広瀬川漁業協同組合に対し講ずることについて、同法第96条第1項第14号の規定に基づき、議会の議決をお願いするものであります。
広瀬川漁業協同組合のこれまでの理不尽な行為により、市民の安心・安全が脅かされ、不利益を被り、また行政への不誠実な行為や市議会への冒瀆は、決して許されるものではありません。先にも述べましたが、私は平成30年12月25日、市職員への不当要求行為を公表し、当時は市議会議員であった当該理事に対しまして警告を発しましたが、今回のように市民に直接、あるいは広く市民に及ぶような状況となっておりますので、看過できないところとなっているところであります。このようなことが今後も繰り返し行われると考えますと、もう、うんざりであります。
私ども地方公共団体は、地方自治法第1編総則の第1条の2において、「地方公共団体は住民の福祉の増進を基本とし、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」と規定されております。今回、市民はもとより、社会全体にこのことを知らしめ、総合調整権が有効に機能できるよう努めていかなければならないと、強く思っているところであります。
議員各位におかれましても、このように私どもに課せられた市民福祉の向上という行政の根源である使命を果たすため、市民の安心・安全と利益を守るべく、何卒御理解をいただき、御協賛賜りますよう、心からお願い申し上げるところであります。