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出水市令和5年第4回定例会 第6日

○18番(中嶋敏子議員) ただいま問題になっております陳情について、意見を述べて反対をしたいと思います。
委員長報告では、不採択すべきだということで報告をいただきました。本陳情は政党機関紙の庁舎内での購読、配達、集金について、自治体の例を挙げて、本庁において庁舎内でのそれらの行為を禁止することや、それに関する調査を求める内容となっております。
委員長報告の中で述べられた当局からの説明について、私は一定意見もありますので、述べたいと思います。本陳情には、庁舎管理に規則が守られていない懸念について触れていますが、そもそも庁舎は議員にも幅広く、その利用が認められているものであります。議員の行う行為について、庁舎管理規則で規制するものではないと考えます。
本陳情には、政党機関紙の勧誘、配達、集金行為について、住民が政治的中立性に疑念を持つとありますが、行政の中立性というのは、住民に公正中立の立場で行政に携わることであって、個々の職員がどのような思想を持っているかには関係ないことだと思います。現に、市町村長の中には、政党からの推薦を受けている人もいますし、政治活動もできます。しかし、行政にあたっては、一般に公正中立な行政を行っているとみられております。
以上のように、本陳情には正当性がないことは明らかだと考えます。そもそも、どの政党の機関紙であろうと、政党機関紙を広範に国民に勧めることは、憲法が保証する正当な政治活動であります。政党に所属する議員や党員が、自治体の職員に政党機関紙の購読を働きかけ、配達集金する活動は、憲法で保証された政治活動であり、購読する職員にとっては、個人の思想・信条の自由、内心の自由の問題であります。これに制限を設けることは、許されないと考えます。
また、自治体職員が様々な政党が、どのような考えや政策などを持っているのかを把握するために、政党機関紙を購読することは何ら批判されるようなことではありません。川崎市において、当時の市長が職員の政党機関紙の購読アンケート調査を行ったことに対し、市職員6人が憲法違反の思想調査だと、横浜地裁川崎支部に起こした裁判の判決は、市職員が任意に政党機関紙を購読して、各種の情報を入手し、それを職務に生かすことは最大限に尊重されるべきであって、いかなるものであっても、それを制約することが許されないことは、当然と述べております。
以上の理由などから、憲法で保証された政治活動の自由、個人の思想・信条の自由を侵害し、その権利を侵すことにつながる本陳情は、不採択とすべきであることを主張し、委員長報告では不採択でしたので、それに賛同し、本陳情そのものには反対の立場の討論といたします。