議会議事録検索

出水市令和5年第4回定例会 第1日

○18番(中嶋敏子議員) ただいま提案されております令和4年度出水市一般会計歳入歳出決算の認定について、問題点を指摘して反対いたします。
地方自治法第1条の2は、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と、自治体の役割の基本は住民福祉の増進であると明記しています。私は地方自治体の予算の重心を置くべきところは、福祉と暮らしであり、住民の命・暮らしを守る防災であり、暮らしを支える農業や中小企業であると考えます。
この立場に立って、令和4年度の決算を見てみますと、民生費や衛生費の占める割合は確かに大きいものがありますけれども、コロナ禍で苦しむ市民の現状に照らせば十分とは言えず、財政調整基金76億円、これは鹿屋市とか霧島市とか他市の人口比でいくと、多額にのぼっております。76億円貯めこみ、デジタル化や屋根付き市民ふれあい広場の建設、企業誘致、開発などが太い柱になった行政運営だと言わなければなりません。
令和4年度、感染拡大が続いた新型コロナウイルスに対しては、アフターコロナが強調され、実際に進行していた感染拡大や、次に来る可能性のある第7波への備えについて、市独自のPCR検査の拡充などは不十分でありました。
昨年、猛威を振るった鳥インフルエンザウイルス感染症拡大では、市長をはじめ、職員の皆さんが大変御苦労されたことに敬意と感謝を申し上げます。同時に、市の観光の目玉であるツルと養鶏、米農家や地域住民との共生を図るための市独自の取組はされませんでした。
政府は22年度もコロナ禍を口実に、デジタル化推進を前面に出す、成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現するなどとしましたが、成長戦略の柱に位置づけているのはデジタル化で、その目玉がマイナポイントでした。本決算でも、デジタル化の構築を一つの柱にしており、市民の個人情報を大企業の儲けのネタにするマイナカードの普及を重点にした事業が取り組まれています。もともと、マイナンバーカード制度は行政運営を効率化及び行政分野における公正な給付と負担の確保、これはマイナンバー法第1条にありますが、を目的としております。社会保障の給付と税、保険料の負担を個人ごとに分かるようにして、給付を抑制して、国の財政や大企業の負担を減らすことを狙って導入されたもので、根本的にその是非を問い直す制度であると考えます。マイナンバーカードの全市民取得をコロナ危機の中で推進する道理も、必要性もなかったと考えます。
本決算に、自衛隊募集事務費が計上されております。そして、本人の承諾もなく、18歳と22歳の男女の名簿が自衛隊に提供されているのは問題です。出水市では、除外申請の取組も遅れております。第156回国会の個人情報の保護に関する特別委員会で、当時の片山国務大臣が、「自治体の自衛隊適格者名簿の提供は義務ではなく、依頼、協力要請である。」と答弁しています。市独自の判断で、この依頼は断るべきであります。
企業立地促進事業が取り組まれています。新規雇用一人30万円の助成について、雇用は原則正社員として、雇用の定着に資するように求めましたが、対応されておりません。
市政運営の問題として、正規職員926人に対して359人、38.76%の会計年度任用職員で運営されていることは問題です。会計年度任用職員の約8割は女性です。年収200万円以下の低賃金、不安定雇用の改善は図られず、その一方で職員は月100時間を超す残業が80人にものぼり、産業医も100時間を超えて残業する人を減らすよう指導されております。市の資料で明らかになったことですが、「死にたいと思ったことがある」「消えたいと思ったことがある」「あまりにもきつくて、仕事から離れたいと強く思う」という方が152人にも上っております。過労死予備軍を生み出しているような異常な働かせ方は、直ちに改善を図るべきであります。
屋根付き市民ふれあい広場や防災道の駅建設計画など、大型の公共事業に取り組まれる一方で、劣悪な住環境を強いられている市営住宅改修の取組の遅れや、公共施設のトイレの洋式化などの取組は強い市民要求があるにも関わらず、それに応えるものになっておりません。
令和4年度分の市税等の滞納状況を見てみますと、その合計は実人数で4,754人、5億2,351万円余りに上っております。貧困と格差の拡大、医療介護の負担増、物価高騰やコロナ禍による生活困難が続く中で、市が独自に使える76億円の財政調整基金の一部を取り崩してでも、国保介護の負担軽減等を含め、市民の暮らしを支える市政運営にこそ、多くの市民が望んでいるものであることなど、主な点を指摘して討論といたします。