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出水市令和3年第1回定例会 第6日

○5番(北御門伸彦議員) 議案第35号令和2年度一般会計補正予算(第19号)の原案に反対し、修正案について賛成の立場で討論いたします。
幾つかの観点で計画の問題点を指摘いたします。まず、財政の問題です。議会にも配付されました令和元年度一般会計等に係る監査委員から提出された意見書から引用させていただきます。「普通会計ベースでの財政指数に関しては、財政構造の弾力性を示す経常収支比率が、出水市の場合は94.9%で、前年度と比較すると0.9%上昇している。これは、普通交付税の減少や扶助費の増加等が主な要因であり、前年度に引き続き90%を上回っていることから、今後も財政の硬直化に対し留意が必要である。」と記載されております。この数値が100%に近いということは、経常的な収入で経常的な支出を賄えない状態にあり、一般的に70から80%が適正な範囲とされておりますが、出水市は94.9%であります。その前年には1.6ポイント上昇しており、原因として考えられるのは、監査意見書最後に出てまいりますが、引用いたします。「全国で拡大する新型コロナウイルス感染症に係る費用の増加や、リーマンショック以上とも言われている経済活動の低迷による税収の減少等が懸念されており、加えて、合併算定替えによる普通交付税の優遇措置が令和2年度で終了する一方、庁舎建設事業、北薩広域行政事務組合の新処理施設整備事業、それから老朽化した公共施設の整備等、投資的経費の増加に係る公債費の増加により、市の財政需要は引き続き大きなものがある。このような状況の中、コロナ禍における財政運営は未確定のことが憂慮されるところであるが、経済情勢の変化や災害等の不測の事態において的確な判断と迅速な対応ができるよう、引き続き適正な予算管理に努め、将来の財政需要に備えた計画的な財政運営を望むものである。」と、監査意見書にこのように結ばれております。決して、市の財政の余裕はありません。地域活性化施設に15億円の支出が予定されている中、10億円もの予算を伴うであろう屋根付き市民ふれあい広場の建設についての緊急性は感じられませんし、計画が建設ありきで、予算額や規模の問題、需要の問題、建設予定地の問題など危惧することが多い計画です。
次に、一般質問でも述べましたが、リスクマネジメントで懸念されるのが財政破綻です。第2の夕張市の問題が徐々にクローズアップされてきております。東京都日野市、千葉県銚子市、京都市などが財政破綻のおそれがあるとの情報があります。親亀がこけたら子亀がこけた、と歌があったかと思いますけれども、国に歳入の多くを頼っている自治体は、独自に地方の財政、経済基盤を構築していく責務が生まれていると私は感じます。また、20世紀はハコモノ行政とやゆされましたが、やろうとされていることはハコモノ行政そのものです。中身や需要を十分検討されていません。岩手県紫波町は、老朽化した大型公共施設の建て替えに当たり、ハコモノづくりから人づくりへ重点を置き、担当者は100回以上の説明会を開催し、情報公開を行いながら、官民連携によるプロジェクトのもと、年間90万人訪れるエリアをつくることに成功しております。また、AI(人工知能)の時代の到来に関連し一般質問をしたとき、申し上げたことがあります。そのとき、奈良県生駒市長の書かれた本「10年で激変する公務員の未来予想図」という本の記述を引用しました。私なりに要約しますと、AIの導入で事務職は人が不要になっていく分野がたくさんある。職員は、外へ出てスキルアップしていかねばならないと言われております。財政再生団体に陥るところも、まず職員を減らします。今後10年すれば、時代は大きく変わっていきます。そこで、市役所職員が生き残るためにアンテナを張りスキルアップをしていくためにも、長岡藩の米百俵のように、少しでも教育、人づくりにお金を使っていただきたいと述べ、修正案の賛成討論とさせていただきます。