○出水市高川ダム操作規程

平成18年3月13日

訓令第47号

目次

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 ダム等の管理の原則

第1節 流水の貯留及び放流の方法(第10条―第13条)

第2節 放流の際採るべき措置等(第14条―第19条)

第3章 洪水における措置に関する特則(第20条―第23条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この訓令は、高川ダム(以下「ダム」という。)の操作の方法のほかダム及び高川貯水池(以下「貯水池」という。)の管理に関し必要な事項を定めるものとする。

(管理主任技術者)

第2条 ダムに河川法(昭和39年法律第167号。以下「法」という。)第50条第1項に規定する管理主任技術者1人を置く。

2 前項の管理主任技術者は、部下の職員を指導監督して法及びこれに基づく命令並びにこの訓令に定めるところにより、ダム及び貯水池の管理に関する事務を誠実に行わなければならない。

(ダム及び貯水池諸元等)

第3条 ダム及び貯水池の諸元その他これに類するダム及び貯水池の管理上参考となるべき事項は、次のとおりとする。

(1) ダム

 高さ 42.00メートル

 堤頂の標高 EL 93.00メートル

 越流頂の標高 EL 86.50メートル

 洪水吐ゲート

(ア) 個々のゲートの規模及び数

高さ6.2メートル幅8.5メートルのもの 2門

(イ) 個々のゲートの開閉の速さ 毎分0.30メートル

 設計洪水流量 毎秒390立方メートル

(2) 貯水池

 直接集水域の面積 23.5平方キロメートル

 湛水区域の面積 0.85平方キロメートル(常時満水位時)

 最大背水距離 3.3キロメートル

 設計洪水位 標高91.50メートル

(水位計による表示 25.65メートル)

 常時満水位標高 91.50メートル

(水位計による表示 25.65メートル)

 予備放流水位標高 90.50メートル

(水位計による表示 24.65メートル)

 最低水位 標高66.00メートル

 有効貯水量 7,727,000立方メートル

(3) 取水

 最大使用水量 毎秒3.181立方メートル(普通かんがい期6月11日から10月10日まで)

 取水施設

 

 

 

(ア) 取水ゲート

 

表面取水ゲート

高さ6.30メートル 1門

幅 1.58メートル

取水ゲート φ

1,200ミリメートル 4門

(イ) 放流バルブ

 

口径800ミリメートルハウエルバンガーバルブ1機(電磁流量計付)

(平19訓令7・一部改正)

(洪水及び洪水時)

第4条 この訓令において「洪水」とは貯水池への流入量(以下「流入量」という。)が毎秒100立方メートル以上であることをいい、「洪水時」とは洪水が発生しているときをいう。

(洪水警戒時)

第5条 この訓令において「洪水警戒時」とは、ダムに係る直接集水地域の全部又は一部を含む予報区を対象として、暴風雨警報又は大雨警報が発令され、その他洪水が発生するおそれが大きいと認められるに至ったときから、これらの警報が解除され、又は切り替えられ、かつ、洪水の発生するおそれが少ないと認められるまでの間で、洪水時を除く間をいう。

(洪水処理時)

第6条 この訓令において「洪水処理時」とは、洪水警戒時中洪水時が終わったときから洪水警戒時が解除されるまで、又は解除されることなく貯水池への流入量が再び増加し、洪水時に至るまでの間をいう。

(予備警戒時)

第7条 この訓令において「予備警戒時」とは、第5条の予報区を対象として風雨注意報又は大雨注意報が発令され、その他洪水が発生するおそれがあると認められるに至ったときから洪水警戒時に至るまで、又は洪水警戒時に至ることがなくこれらの注意報が解除され、その他洪水が発生するおそれがないと認められるに至るまでの間をいう。

(貯水位の算定方法)

第8条 貯水池の水位(以下「貯水位」という。)は、高川貯水池水位観測所の水位計の示度に基づいて算定するものとする。

(流入量の算定方法)

第9条 流入量は、池鶴水位観測所地点における高川の流量に2.22を乗じて得た流量とする。

2 前項の高川の流量は、池鶴水位観測所において測定した高川の水位に基づいて算定するものとする。

3 前2項の規定にかかわらず、これらの項に規定する方法によっては、流入量を正確に算定することができないと認められる事情があるときは、流入量は、これを算定すべきときを含む一定の時間における貯水池の貯水量の増分に、当該一定の時間における貯水池からの延べ放流量との合算量を当該一定の時間で除して算定するものとする。

4 前項の貯水量の増分は、同項の一定の時間が始まるとき、及びこれが終わるときにおける貯水位にそれぞれ対応する貯水池の貯水量を別図第1により求め、これを差引計算して算定するものとする。

第2章 ダム等の管理の原則

第1節 流水の貯留及び放流の方法

(流水の貯留の最高限度)

第10条 貯水池における流水の貯留は、第22条第1号の規定により貯水池に流水を貯留する場合を除くほか、常時満水位を超えてしてはならない。

(ダムから放流することができる場合)

第11条 ダムの洪水吐からの放流は、次の各号のいずれかに該当する場合に限りすることができるものとする。

(1) 下流における他の河川の使用のため、必要な河川の流量を確保する必要があるとき。

(2) 第21条第2号第22条第1号及び第23条の規定により貯水池から放流するとき。

(3) ダムその他貯水池内の施設又は工作物の点検又は整備のため必要があるとき。

(4) 前条の規定を守るため必要があるとき。

(5) その他やむを得ない必要があるとき。

2 ダムの取水施設の放流バルブ(以下「放流バルブ」という。)からの放流は、次の各号のいずれかに該当する場合に限りすることができるものとする。

(1) 国営出水平野土地改良事業に係る受益地に対し用水補給をするとき。

(2) 下流における他の河川の使用のため、必要な河川の流量を確保する必要があるとき。

(3) ダムその他貯水池内の施設又は工作物の点検又は整備のため必要があるとき。

(4) 前条の規定を守る必要があるとき。

(5) その他やむを得ない必要があるとき。

(放流の開始及び放流量の増減の方法)

第12条 貯水池からの放流は、第22条第1号の規定によってする場合を除くほか、下流の水位の急激な変動を生じないように別図第2に定めるところによってしなければならない。ただし、流入量が急激に増加しているときは、当該流入量の増加率の範囲内において、貯水池からの放流量を増加することができる。

(洪水吐ゲート及び放流バルブの操作の方法等)

第13条 ダムの洪水吐ゲートを構成する個々のゲート(以下この条において「ゲート」という。)は、左岸に最も近いものから右岸に向かって順次「第1号ゲート」、「第2号ゲート」という。

2 ダムの洪水吐から放流する場合においては、第1号ゲート又は第2号ゲートを交互又は同時に開き、更にその放流量を増加するときは、同様の操作を繰り返すものとし、開かれたゲートを閉じるときは、第1号ゲート又は第2号ゲートを交互又は同時に行うものとする。

3 前項の場合におけるゲート1回の開閉の動きは、0.60メートルを超えてはならない。ただし、流入量が急激に増加している場合において、やむを得ないと認められるときは、この限りでない。

4 第1号ゲート又は第2号ゲートを交互又は同時に開閉した後、引き続いて同様の操作を繰り返すときは、当該ゲートが停止してから少なくとも30秒を経過した後でなければ当該ゲートを始動させてはならない。

5 ゲート及び放流バルブは、第11条の規定により放流する場合又はダムの洪水吐若しくは取水施設の点検若しくは整備の必要がある場合を除くほか開閉してはならない。

第2節 放流の際採るべき措置等

(放流の際の関係機関に対する通知)

第14条 法第48条の規定による通知は、ダムの洪水吐から放流(当該放流の中途における放流量の著しい増加で、これによって下流に危害が生ずるおそれがあるものを含む。以下次条において「ダム放流」という。)の開始の少なくとも1時間前に、別表第1に定めるところにより行うものとする。

(放流を周知させるための措置)

第15条 法第48条の一般に周知させるため必要な措置は、ダム地点から米ノ津川河口までの区間についてとるものとする。

2 河川法施行令(昭和40年政令第14号。以下「令」という。)第31条の規定による警告は、別表第2に掲げるサイレン及び警報車の拡声器により、それぞれ次に掲げる時期に行うものとする。

(1) ダム地点に設置されたサイレンによる警告にあっては、ダム放流の開始約30分前に約10分間

(2) ダム地点以外の地点に設置されたサイレンによる警告にあっては、ダム放流により当該地点における米ノ津川の水位の上昇が開始されると認められるときの約60分前に約10分間

(3) 警報車の拡声器による警告にあっては、前項の区間に含まれる各地点について、ダム放流により、当該地点における米ノ津川の水位の上昇が開始されると認められるときの約15分前

(ダム操作に関する記録の作成)

第16条 ダムの洪水吐ゲート又は放流バルブを操作した場合においては、次に掲げる事項(その開閉がダム放流を伴わなかったときは、第1号及び第2号に掲げる事項)を記録しておかなければならない。

(1) 操作の理由

(2) 開閉したゲート又は放流バルブの名称、その1回の開閉を始めた時刻及びこれを終えた時刻並びにこれを終えたときにおけるその開度

(3) ゲート又は放流バルブの1回の開閉を始めたとき、及びこれを終えたときにおける貯水位、流入量、ダムの洪水吐又は放流バルブからの放流に係る放流量及び使用水量

(4) ダムの洪水吐又は放流バルブからの放流に係る最大放流量が生じた時刻及びその最大放流量

(5) 法第48条の規定による通知及び令第31条の規定による警告の実施状況

(観測及び測定)

第17条 法第45条の規定による観測は、別表第3に定めるところにより行うものとする。

2 法第45条の規定により観測すべき事項のほか、別表第4に掲げる事項については、同表に定めるところにより観測又は測定をしなければならない。

3 前項のほか、次条第2項の規定に該当するとき、その他ダム又は貯水池について異常かつ重大な状態が発生していると疑われる事情があるときは、速やかに、別表第4に掲げる事項のうちダムの状況に関するものの測定をしなければならない。

4 法第45条及び第2項の規定による観測及び測定の結果は、記録しておかなければならない。

(点検及び整備)

第18条 ダム及び貯水池並びにこれらの管理上必要な機械器具並びに資材は、定期及び時宜によりその点検及び整備を行うことにより、常時良好な状態に維持しなければならない。

2 特に洪水、暴風雨、地震その他これらに類する異常な現象でその影響がダム又は貯水池に及ぶものが発生したときは、その発生後速やかに、ダム及び貯水池の点検(貯水池付近の土地の形状の変化の観測及びダムに係る地山からにじみ出る水の量と貯水位との関係の検討を含む。)を行い、ダム又は貯水池に関する異常な状態が早期に発見されるようにしなければならない。

(異常かつ重大な状態に関する報告)

第19条 ダム又は貯水池に関する異常かつ重大な状態が発見されたときは、直ちに別表第1に定めるところにより、その旨を報告しなければならない。

(平22訓令8・一部改正)

第3章 洪水における措置に関する特則

(予備警戒時における措置)

第20条 予備警戒時においては、次に掲げる措置を採らなければならない。

(1) 洪水時においてダム及び貯水池を適切に管理することができる要員を確保すること。

(2) ダムを操作するために必要な機械及び器具(受電及び受電した電気の使用のための電気設備並びに予備電源設備を含む。)、法第45条の観測施設、法第46条第2項の通報施設、令第31条の規定により警告するためのサイレン及び警報車、夜間に外で洪水時における作業を行うため必要な照明設備及び携帯用の電灯その他洪水時におけるダム及び貯水池の管理のため必要な機械器具及び資材の点検及び整備を行うこと。

(3) 気象官署が行う気象の観測の成果を的確かつ迅速に収集すること。

(4) 鹿児島県知事等に対し別表第1により法第46条第1項の規定による通報をすること。

(5) 河川法施行規則(昭和40年建設省令第7号)第27条の規定によりダムの操作に関する記録を作成すること。

(6) その他ダム及び貯水池の管理上必要な措置

(平22訓令8・一部改正)

(洪水警戒時における措置)

第21条 洪水警戒時においては、前条第1号から第5号までに掲げる措置のほか、次に掲げる措置を採らなければならない。

(1) 最大流入量その他流入量の時間的変化を予測すること。

(2) 次に定めるところにより、貯水池から放流し、又は貯水池に流水を貯留すること。ただし、貯水池からの放流は、第12条の規定に適合しないこととなるときは、できるだけこれに適合するような方法で行うこと。

 洪水警戒時に至ったときにおける貯水位が予備放流水位を超えているときは、貯水池からの放流を行い、貯水位が予備放流水位に等しくなったとき以後においては、流入量に相当する流量の流水を貯水池から放流すること。

 洪水警戒時に至ったときにおける貯水位が予備放流水位に等しいときは、流入量に相当する流量の流水を貯水池から放流すること。

 洪水警戒時に至ったときにおける貯水位が予備放流水位を下回っているときは、貯水池からの放流をしながら、又はこれをしないで貯水池に流水を貯留し、貯水位が予備放流水位に等しくなったとき以後においては、流入量に相当する流量の流水を貯水池から放流すること。

(3) その他ダム及び貯水池の管理上必要な措置

(洪水時における措置)

第22条 洪水時においては、第20条第3号及び第4号並びに前条第1号に掲げる措置のほか、次に掲げる措置を採らなければならない。

(1) 次に定めるところにより、貯水池から放流し、及び貯水池に流水を貯留すること。ただし、貯水池からの放流は、下流の水位の急激な変動を生じないため、必要な最小限度において、その急激な変動を生じないようにしてすること。

 洪水時が始まったときから、流入量に相当する流量の流水を貯水池から放流し、ダムの洪水吐ゲートを全開することとなるまでの間、これを継続すること。

 に規定する時間が経過したときから、ダムの洪水吐ゲートを全開したとき、流入量が最大となったときを経て、貯水位が予備放流水位に等しくなるまでの間、これを継続すること。

 に規定する時間が経過したときから、流入量が毎秒10立方メートルになるまでの間においては、流入量に相当する流量の流水を貯水池から放流すること。

 に規定する時間を経過したとき以後においては、貯水池から放流しながら、又はこれをしないで貯水池に流水を貯留すること。

 からまでの規定にかかわらず、洪水時が始まるときにおける貯水位が予備放流水位を下回っているときは、貯水池からの放流をしながら、又はこれをしないで貯水池に流水を貯留し、貯水位が予備放流水位に等しくなったとき以後においては、からまでの規定により貯水池から放流すること。

(2) 法第49条の規定による記録の作成をすること。

(3) その他ダム及び貯水池の管理上必要な措置

(洪水処理時における措置)

第23条 洪水処理時においては、第21条に規定する措置のほか、次に掲げる措置を採らなければならない。

(1) 洪水処理時に至ったときにおいて前条第1号アの規定に基づき、放流していた流量を継続し、速やかに、貯水位を予備放流水位に等しくなるように努めること。

(2) 洪水処理時に至ったときにおいて、貯水位が予備放流水位に等しい場合においては、流入量に相当する流量を放流すること。

この訓令は、平成18年3月13日から施行する。

(平成19年6月1日訓令第7号)

この訓令は、平成19年6月1日から施行する。

(平成22年4月1日訓令第8号)

この訓令は、平成22年4月1日から施行する。

別表第1(第14条、第19条、第20条関係)

(平19訓令7・平22訓令8・一部改正)

通知・通報施設(河川法第46条及び第48条)

通知又は通報の相手方

通知又は通報の方法

摘要

名称

担当機関の名称

鹿児島県知事

北薩地域振興局建設部

加入電話

 

出水警察署長

出水警察署

 

出水平野土地改良区理事長

出水平野土地改良区事務所

 

別表第2(第15条関係)

(平19訓令7・一部改正)

サイレンの設置(河川法第48条、施行令第31条)

サイレンの名称

サイレンの位置

サイレンの構造又は能力

摘要

第1号サイレンのうりんおおかわうち

鹿児島県出水市下大川内1740―3

SBGM―5500MS―P 520Hz±10Hz

高川ダム操作室屋上

第2号サイレンのうりんひろせ

鹿児島県出水市本町285

SBGM―5500MS―P 520Hz±10Hz

広瀬局

第3号サイレンのうりんろくがつだ

鹿児島県出水市六月田町593―3

SBGM―5500MS―P 520Hz±10Hz

六月田局

別表第3(第17条関係)

(平19訓令7・一部改正)

水位、流量等の観測施設(河川法第45条及び施行令第26条)

観測すべき事項

観測施設

観測の回数

摘要

名称

位置

構造又は能力

貯水位及び流入量

高川貯水池水位観測所

鹿児島県出水市下大川内熊岡1740の3

有線遠隔現場水位計

毎月1回(洪水時、洪水警戒時及び予備警戒時においては30分ごとに1回)

 

水位及び流量

池鶴水位観測局

鹿児島県出水市下大川内崩平2808の乙

テレメーター付現場自記水位計

田原水位観測局

鹿児島県出水市下大川内地下1457

テレメーター付現場自記水位計

降雨量

崩平雨量観測所

鹿児島県出水市下大川内崩平2837の乙

テレメーター付現場自記雨量計

高川ダム雨量観測所

鹿児島県出水市下大川内熊岡1740の3

自記雨量計

別表第4(第17条関係)

観測又は測定すべき事項

観測又は測定の回数

摘要

気象

ダム地点における天気、気圧、気温、相対湿度、蒸発量及び日射量

毎日

 

水象

使用水量、貯水池の表面付近の水温及び貯水池内の水位、流入量、放流量

毎日

 

ダムの現状

温度応力、変形及び揚圧力

毎月半期1回

 

漏水量

毎月2回

貯水池内及びその末端付近の堆砂の状況

毎年度1回

 

別図第1(第9条関係)

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別図第2(第12条関係)

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出水市高川ダム操作規程

平成18年3月13日 訓令第47号

(平成22年4月1日施行)

体系情報
第8編 業/第2章 農林・水産/第2節
沿革情報
平成18年3月13日 訓令第47号
平成19年6月1日 訓令第7号
平成22年4月1日 訓令第8号