過去の災害

更新日:2016年8月16日

針原土石流災害

 平成9年7月10日、午前0時44分頃、出水市境町針原地区で針原川中流の山腹崩壊により約16万m3の土石流災害が発生し、死者21名、負傷者13名、住宅等の全壊29棟、みかん園10haに及ぶ出水市始まって以来の甚大な災害となりました。
 7月7日から降り始めた雨は9日午前2時までに130mmの雨量を記録し、一旦小康状態となりましたが、午前8時頃からまた降り始め、1時間に約20mm前後の強い雨が降り、特に午前10時から11時までの1時間雨量は62mmに達したことから、午前10時45分に薩摩地方北部に大雨洪水警報が発令され、米ノ津地区を中心に河川の増水、浸水被害が発生しました。
 午後からも断続的に降り続き、午後4時から5時までの1時間雨量が55mm、7日からの連続雨量は312mmに達したことから、午後5時30分に17の市避難所の開設、針原自治会でも公民館を臨時の避難所として開設しました。
 しかし、午後9時前には雨も止んだため、避難していた住民も一旦帰宅し、午後11時40分頃に異様な音がしたことから針原川周辺の見回りを自治会長等が行いましたが、雨も降らず針原川の水位も半分程度であったため、再度帰宅をしました。針原地区では翌10日午前3時まで降水はありませんでしたが、針原川の山腹崩壊による土石流災害はこの無降雨の間に発生しました。
 出水における7月9日の降水日雨量は275mmで観測開始以降第一位の記録となり、7日から9日の3日間の総降水量は気象庁の観測所で398mm、出水浄化センターの降雨データで535mmとなりました。
 平成9年は、春頃から熱帯太平洋におけるエルニーニョ現象が発達し始め、東部熱帯太平洋での海面水温が平年よりも1~2度高くなっていました。日本付近では7月6日から7日にかけて南下した梅雨前線が九州から関東にかけた地域に停滞し、南南西から西南西の風により梅雨前線へ水蒸気が安定して供給されたことにより九州、中国、近畿、北陸の各地域に激しい雨をもたらし、平年を大きく上回る7月の月降水量が各地で報告されました。
 災害後、土石流対策計画が策定され、災害関連緊急砂防事業、砂防施設災害復旧事業、河川等災害関連事業、河川災害復旧事業、道路災害復旧事業、農地・農業用施設災害復旧事業の総事業費約42億円の事業実施により復興がなされています。

引用:出水市針原地区土石流災害の記録(鹿児島県出水市)
針原川土石流災害記録誌(針原川土石流災害記録誌編集委員会著)
針原川土石流検討委員会報告書(針原川土石流検討委員会著)

【被災状況】
被災状況画像

【針原土石流災害時の時間雨量・連続雨量】
針原土石流災害時の時間雨量・連続雨量グラフ

引用:針原川土石流災害記録誌(針原川土石流災害記録誌編集委員会著)

 

平成18年7月鹿児島県北部豪雨災害

 平成18年7月18日に関東南岸から朝鮮半島南部を通り黄海に伸びていた梅雨前線が九州南部付近まで南下し、梅雨前線に向かって湿った空気が流れ込み、地形的な影響や九州のすぐ西海上で急速に発生・発達する積乱雲の影響で薩摩地方北部を中心に平成18年7月18日から23日にかけて梅雨前線の活動が活発化し、記録的な大雨となりました。
 特に梅雨前線が熊本県から鹿児島市付近まで南下し、再び北上する22日から23日にかけては、さつま町で1時間雨量88mmの猛烈な雨が降ったのをはじめ30mm~60mm前後の激しい雨が連続して降りました。
18日から23日までのアメダス総降水量は、紫尾山1237mm、大口(伊佐市)1087mm、阿久根847mm、さつま柏原733mmと薩摩地方北部で500mm以上となりました
 この梅雨前線による大雨の特徴は、発達した雨雲が非常に狭い範囲に長時間にわたり断続的に流れ込み、地形的な影響により雨雲が陸上に入ることでさらに発達し、短期間に記録的な大雨をもたらしました。
 出水では、7月21日午後から時折1時間雨量20mm~40mmの強い雨が降り、雨量観測機器の一部欠測がありましたが、最大1時間降水量が78mmを記録し、7月22日の最大日降水量が400mm、7月18日から23日までの総降水量が515mmとなりました。
梅雨前線の影響により、7月20日に出水・伊佐地方に大雨洪水警報が発令され、7月21日午後6時50分には出水市に土砂災害警戒情報が発表されました。
 7月22日早朝から激しい雨に見舞われ、市内でがけ崩れや低地での浸水等が発生したため、午前9時30分に避難所を開設しましたが、午前9時40分に二級河川米之津川の水位が危険水位を越えたことから、米之津川流域の10自治会約2,500世帯に避難勧告を発令し、防災行政無線で避難を呼び掛けました。
 降り続く大雨により午前11時前に米之津川春日橋付近から越水したため、市役所をはじめ市街地が浸水したことから、下流域の3自治会約210世帯に新たに避難勧告を発令しました。
 また、土砂災害のおそれがある地域の約200世帯にも避難勧告を発令しました。
 その後、しばらく雨は小康状態となり米之津川の水位も下がりましたが、23日未明から雨足が強まり、午前5時には再び激しい雨が降り始めたことから、米之津川の水位が再び上昇し、危険水位を越えたため、午前6時30分流域住民に再度避難勧告を発令しました。その後、午前7時過ぎに再び溢水し、市街地も再び浸水しましたが、午前9時以降は雨が止み、米之津川も警戒水位を下回りました。
米之津川の溢水により流域の約287haが浸水し、約1,300棟の住宅や店舗が浸水被害を受け、また、山間部においてはがけ崩れや道路の陥没、学校校舎への濁流流入などが市内の至るところで災害が発生し、未曾有の災害となりましたが、消防、消防団、警察、自主防災組織等の懸命な活動により幸いにして人的被害はありませんでした。
 災害後は、浸水地域の消毒作業、災害ごみの収集、高校生を始めとする多くのボランティアにより被災地の片付けが行われたほか、多くの義援金や物資、災害救助法適用による生活再建支援により被災者復旧への支援が行われました。
 また、米之津川は河川激特災害対策特別緊急事業に採択され、総事業費約100億円で六月田橋下流から沖田大井手堰までの3,9km区間の河道掘削や川幅拡幅等の河川改修が平成24年度に完了しました。

引用:「平成18年7月鹿児島県北部豪雨災害」被害の概要と対応の記録(鹿児島県著)

【米之津川浸水状況:消防署周辺】
米之津川浸水状況画像

【浸水前:広瀬橋】 【浸水後:広瀬橋】
浸水前広瀬橋 浸水後広瀬橋

【米之津川浸水被害時の県内アメダス降水量最大値表】
 (平成18年7月18日0時~23日正午)
米之津川浸水被害時の県内アメダス降水量最大値表
(注)出水の最大日降水量は一部欠測あり
     履歴順位は平成18年7月における降水量の順位

引用:「平成18年7月鹿児島県北部豪雨災害」被害の概要と対応の記録(鹿児島県著)

【米之津川浸水被害時の降水量グラフ(紫尾山、大口、阿久根、さつま柏原)】
  ※累積雨量は平成18年7月18日0時~23日正午の累積
米之津川浸水被害時の降水量グラフ

引用:「平成18年7月鹿児島県北部豪雨災害」被害の概要と対応の記録(鹿児島県著)

お問い合わせ先

くらし安心課

出水市緑町1番3号3階

電話:0996-63-4151

FAX:0996-63-8050

メール:kurashi_c@city.izumi.kagoshima.jp

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