更新日:2022年1月4日
1 紙漉きの歴史について
大川内では・・・
・明治時代から大川内は和紙の名産地としてとても有名な場所でした。
・1960年ごろまで、稲作が終わった農家の人たちの冬の副業として、盛んに作られてきました。
学校で始まったきっかけ
・郷土史の学習をしていたところ、大川内の和紙の存在を知った生徒たちが、「ぜひ復活させよう。」ということから始まりました。
大川内中学校、紙漉学習の歴史
・平成 2年 大川内地区伝統工芸室として、学校敷地に紙漉き小屋が完成
生徒が体験できるようになりました。
・平成 3年 学校行事で、漉き体験開始
卒業証書として、手漉き和紙を使うようになりました。
・平成15年 総合的な学習の時間で、全行程を取り入れた体験学習開始
地域指導者の紹介
指導者の方は出口義信(でぐち よしのぶ)さんです
出口さんは、大川内地区に伝わる和紙の作り方を最初から最後まで分かりやすく教えてくださいます。
*出口さんについて*
昭和34年に、昭和天皇に和紙を献上されました。
本校の生徒数が400人以上いたころです。
出口さんが作る和紙はすごくきれいで、私たちにはとても真似できません。
2 紙漉きの工程
① 11月13日 「かじの木切り」
この工程では,紙すきの原料であるかじの木を,切り出す作業をします。
次の工程の,「蒸し」という作業のために,かじの木を50センチほどで切りそろえておきます。
五右衛門風呂で蒸すため,長いままだと入りきらないからです。
体験後の生徒感想
「木を切ったことがあまり無かったから、どのように切ればよいか最初は分かりませんでした。試行錯誤していく
うちに慣れていき徐々に切れるようになりました。」
② 11月16日 「蒸し」
この工程では,釜の中で2時間程度切りそろえたかじの木を蒸します。
次の工程の「皮剥」という作業のために、蒸すことで皮を柔らかくし,剥がしやすくします。
体験後の生徒感想
「『五右衛門風呂』や『むしろ』など昔から実際に使われている道具でかじの木を蒸しました。蒸すことでかじ
の木の芯から皮の部分が外れやすくなるまでの様子が面白かったです。」
③ 11月16~19日 「皮剥」
この工程では,蒸されたかじの木の皮の黒い部分をこすりながらを取り除き、紙漉に必要な皮の部分を芯
から抜き取ります。
体験後の生徒感想
「この真っ黒なかじの木の皮から、あの真っ白な和紙ができるなんて想像できない。」
④ 11月19日 「蒸解」
この工程では,次の工程の「黒皮取り」がしやすいように,苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)で3時間ほど煮
ます。
体験後の生徒感想
「苛性ソーダの取扱いには、細心の注意をはらいました。中性にしてから後処理することも学べて、理科の学
習をしているようでした。」
⑤ 11月19日 「ダムづくり」
「蒸解」と同時進行で、川にダムを作ります。「蒸解」して柔らかくなった皮を、川に浸し洗うためです。
体験後の生徒感想
「秋の終わりに・・・川の水の冷たさは、一生忘れません。石は滑りやすいし、重いし大変でした。でも、完成し
たダムは感動的でした。」
⑥ 11月22日~23日 「川浸し」
この工程では、「蒸解」して柔らかくなった皮を、二日間川に浸し、汚れを取ります。
体験後の生徒感想
「大雨が降ったので、先生方がいったん川からあげて、また、浸してくださいました。自然を相手にするとは本
当に大変なことだと思いました。」
⑦ 11月24日 「引き上げ」
この工程では、ダムに二日間つけたかじの木の皮を引き上げ洗います。
体験後の生徒感想
「ネットから取り出し、ざるに移すとき、泥や砂が入ったり、皮が流れてしまったりした。ざるで洗うのは意外と
むずかしかったけど、傾きを調節したりするときれいに洗えることができました。」
⑧ 11月24~30日 「黒皮取り」
この工程では,皮の表面に残った黒皮を取り除きます。
体験後の生徒感想
「ミリ単位の黒皮取り、根気と丁寧さと、スピードが必要です。この作業をしっかりやらないと、きれいな和紙
にならないと地域の方が教えてくださいました。がんばりました。」
⑨ 11月30日 「漂白」
この工程では,漂白剤を水に溶かし,よくかき混ぜてからかじの木の皮を入れ,繊維を白くするために行います。
体験後の生徒感想
「漂白剤が、皮膚や服につかないように気を付けながら行いました。黒皮がしっかりとってあるものは、真っ白に
なりました。一つ一つの工程が、次の工程の大切な準備になっていることを実感しました。」
⑩ 12月2日 「洗い」
この工程では、漂白した皮をよく水洗いし、きれいな和紙の原料となるものとそうでないものを分別します。
体験後の生徒感想
「川の水は冷たくて大変な作業でしたが、みんなで協力してできました。水で洗って繊維を分別する仕事は
細かい作業で時間がかかってしまいました。作業後の足湯は最高でした。」
⑪ 12月2~4日 「たたき(叩解)」
この工程では、水洗いした皮を綿状になるまで丁寧に叩いてほぐします。
体験後の生徒感想
「すごく根気がいる作業でしたが、みんなでローテーションしてやりました。木槌が重いので、水に溶けるくらい
繊維を叩くので、腕が疲れて大変でした。」
⑫ 12月7日 「のり作り」
この工程では、採取したなしからずの外皮を削り取ってから、内側をこさぎ、バケツに入れておきます。そうする
ことで、外皮からのりが出てきます。
体験後の生徒感想
「木からのりができるということは知らなかったから、実際にのりができたときは驚いた。皮を剥がすときよりも
のりとなる部分を削るときの方が大変で、一本分の木を削るのに約二十分くらいかかってしまった。」
⑬ 12月8日 「紙すき」
この工程では、まずカジの皮とのりをよく混ぜ合わせてから、紙を漉く作業を始めます。スゲタ(漉きゲタ)を
手前から入れて、繊維をすくい、均一になるようにしてから、水が落ちた状態で、すのこを外します。
体験後の生徒感想
「思った以上にとても難しくて、出口さんの技術がすごいなと思いました。自分の和紙ができてうれしかった
です。出口さんがとても上手くて、とても自分には真似できないなと思いました。自分の卒業証書になる
ということもあり、一枚一枚丁寧に心をこめて漉くことができました。3年間で一番きれいに漉くことができ
たと思います。」
⑭ 12月10日 「乾燥」
この工程では、きれいに拭いた窓に和紙を張り付けて、乾燥するのを約2週間待ちます。
体験後の生徒感想
「シワを作らないようにきれいに貼るのが難しかったです。きれいな和紙になりますように。」